森田神経質とは・・・・・・実は病気ではないのに病気と思いこみ、いろいろな症状で悩み、苦しんでいる人の性格をさしていいます。たとえば、人前で緊張し声がよ く出ないとか思うように話せない・人の思惑が気になる(対人恐怖)、人の視線が気になる(視線恐怖)、手が震えて字がうまく書けない(書痙《しょけい》)、(あるいは戸締まりやガス栓が気になり何度も確認してしまう/外出して帰ったら何度でも手を洗わないと気が済まない/車で運転中に何かを轢いたような気がしてならない(強迫神経症)、あるいは突如不安感に襲われ倒れるのではないかと心配ばかりする(不安神経症・パニックディスオーダー・パニック障害)、いつも自分の身体の調子ばかりが気になる(普通神経症)。これら以外でもいろいろな悩みに苦しむ人がいます。これらの人は、普通の人が誰でも経験することのあるこれらの自然な症状を重大な病気であると思いこみ、あってはならない、邪魔な厄介ものとして排除しようとします。そして、そうすればするほど、症状は次第に強くなり、生活に支障をきたすようになるのです。これらの神経症はたしかに苦しいものですが、森田療法理論の学習と実践によって克服することができます。

 

 森田療法理論とは・・・・・・故森田正馬博士(慈恵医大名誉教授)が80年以上前に神経質の本態と療法を科学的に研究、創始されたものです。日本で生まれた「森田療法」として現在ではよく知られるようになりましたが、その独創性ゆえ当時は医学会でも正しく評価されませんでした。    神経質(神経症)の症状は器質的な病気ではなく、主観的な精神の執着から起きたもので、その執着を否定するのではなく、執着という客観的事実(苦しいのは苦しいまま)を受け入れ、自然服従するというのが森田療法理論の基礎です。 そして、森田理論の神髄は、神経質の悩みや苦しみからの解放をもたらすばかりではなく、人間が本来持っている生きる能力(生にたいする欲望)を最大限に発揮させ、その人の人生に立ち向かわせるところにあります(神経質の長所を発揮する)。